肩こりの人は肩を揉んではいけない理由

こんにちは。

奈良県生駒市にあります「はぎの台整骨院」院長の松本です。

テレビやYOUTUBE、広告や看板などありとあらゆる所で「辛い肩こりに〇〇マッサージ」といった文言を目にすることで、もはや肩こりにはマッサージと思い込んでいる方も多いのではないでしょうか?

実際にマッサージにはリラックス効果や筋肉を緩める効果があります。キチンと正しく使えば有効な方法の一つです。しかしながら、ほとんどの場合で間違った使用方法で認知されており、逆に肩こりをひどくしてしまっている状況をよく耳にします。

実際に当院にお越しの方から以下のようなお話を聞かせてもらうことがよくあります。

「毎日マッサージ機を30分当ててるんやけど、マシにならない…」

「前に行ってた整骨院では1番力の強い男性に思いっきり揉んで貰ってたけど効かなくなった」

「受けた後は楽やねんけど寝て起きたら元通りになってる」

今回は肩こりの人の共通点とそこから起こるメカニズムを簡単にお話しできればと思います。今回ご紹介させていただく仕組みを知っておいてくだされば、誤ったセルフケアもしにくくなりますし、当院がなぜ肩をマッサージしないかもご理解いただけるかと思います。

肩こりの人に共通する姿勢

肩こりでお悩みの方はお仕事や年齢、性別もバラバラです。しかしながら共通した姿勢があります。それは手が前に出て内に入っており、肩が前に引っ張られている姿勢をしているということです。

下の写真を見ていただくと手が肩よりも前に出て、親指が上から内側に向いているのがお分かりいただけるかと思います。この姿勢では肩だけでなく頭も自然と前に引っ張られるため、肩周りの筋肉にとってかなり辛い状況となります。

スマホやPC、炊事、掃除と頭と手が前に出る姿勢でいる時間って長いですよね…

もちろん今この文章をタイピングしている私もこの姿勢になっています。デジタル化が進んだ社会では、この姿勢を避けることは不可能に近いので、きちんとしたケアをしないと悪化の一途を辿ることは間違いありません。

手が前に出た姿勢で起こること

先ほどの写真のような姿勢でいると、つられて肩まで前に出た状態になり、肩周りの筋肉は腕と頭の重みで引っ張られ続けることになります。肩にとっては常に辛い状況となるため、力みが生じて疲労物質が溜まり血流も足りなくなって肩こりになっていきます。

そんな辛い状況から肩にマッサージをして緩めるとどういう事が起こるでしょうか?

巻き肩、猫背、ストレートネックなどは厳密に言うと三つとも一気に起こっています

ただでさえ引っ張られて伸びている肩周りの筋肉をマッサージでさらに緩めると、、、さらに手も肩も前に出て余計に辛い状況にならない?

その通りなんです!

肩こりの人の肩をマッサージして緩めると余計に肩こりが起こりやすい姿勢になっていくんです…

ここで「いやいや待って待って!じゃぁ、マッサージを受けた後に一時的にでもラクになるのはなんでなん?」といった声が聞こえてきそうなので、そちらも簡単に説明しておきます。

アルントシュルツの法則

プリューゲル・アルントシュルツの法則とも記されていることもありますが、国家資格を取る専門学校では当たり前に習う内容でして、かなり前から科学的に証明されており「刺激が強くなると神経が遮断されていく」という内容です。

詳しくは以下にWikipediaのリンクを貼っておきますので興味のある方はご覧ください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/プリューゲル・アルントシュルツの刺激法則#:~:text=概要,が軽減もしくは回復する%E3%80%82

先ほどの一時的にラクになるけど戻ってしまうとおっしゃっていた方々は皆さん、強刺激のマッサージや長時間のマッサージを受けておられたのではないでしょうか?強い刺激を受けると体は危険と判断して、刺激を受けている部分の神経を静止してしまいます。

つまり肩を強くゴリゴリとマッサージするということはその場しのぎの痛み止め的な処置を行なっているだけになります。さらに神経には記憶機能があるので、肩こりがラクになるために前回に受けた刺激よりも強いモノを求めてしまうという中毒性すらある危険な方法になります。

この法則を知っているだけでも、絶叫や悶絶している治療動画がいかに身体に悪いことをしているかがお分かりいただけるかと思います。まぁ再生回数がすごいから、この法則を知らずに受けたいと思う方を狙っての動画なんでしょうけど、僕には到底できません…

当院が肩を揉まない理由

ここまでお読みいただいた方であれば説明不要かと思いますが、最低限の刺激量で体をいい状態にしていく方がリスクが少なく、患者さんへの侵襲(受ける際のダメージ)が低くなります。治療を受ける側からしたらすでに肩こりで辛いんだから治療を受ける時間もラクで、神経や筋肉へのリスクも低い方がいいじゃないですか?いや、それ以外は余計に悪くなってしまうリスクがあるので、個人的にはイヤですね。

低刺激できちんと改善していくには、原因を見抜けるだけの研鑽された治療技術、常に知識のアップデート、治療経験等が必要不可欠となります。当院の治療は決してお安くありませんが、お支払いいただく価値があるだけの技術と知識を提供している自負があります。

このような治療スタイルになった背景には、20年以上前に恩師のドクターから学んだ「人にやさしく」が医療の大前提なんだよという教えにあります。様々な治療法が出てくる昨今ですが、このルールだけは必ず守るようにしています。

正しいセルフケア

最後に当院がおすすめする肩こりに効果的なセルフケアをご紹介させていただきます。最下部に動画がありますので、早くやりたい方はそちらへどうぞ。

肩が前に入っている方は「小胸筋」と言う下の写真(右側)にある筋肉が縮こまっている状態です。

マッチョな人胸をピクピクと動かす筋肉が大胸筋で、その下に隠れている筋肉なので動きを確認するのは少し難しいです。

筋肉は「縮む」動きしかできない性質があります。どれだけ緩めと思っても筋肉は反応しません。緩めるにはストレッチやマッサージなど何かしらの外力が必要となります。

本来であれば、縮んだ後に指示がなくなり力が抜けると、元に戻るのが筋肉の性質となっています。しかしその際に、拮抗筋という真逆の働きをする筋肉がいい状態であればスムーズに戻るのですが、先ほどのような不良姿勢が続くと無駄な力みや不具合が生じて、元の状態に戻れなくなります。この不具合が繰り返されることで特定の筋肉が硬く縮まっていきます。

また筋肉は単一では動かずに協力して動きます。例えば腕を上げる時には肩の筋肉だけでなく、肩甲骨や前腕の筋肉も動員させて動かします。ですので、肩こりの際に一つの筋肉だけを緩めても改善することは難しく、関連している筋肉も一緒に改善していく必要があります。

肩が前に出た状態では背中側が本来よりも伸ばされ、胸側が常に縮んだ状態に陥っています。その状態を打破しない限りは肩こりを繰り返してしまうので、胸側にある小胸筋を伸ばして、協力している上腕や前腕の筋肉もストレッチしていきましょう。

今回、ご紹介している動きは、伸ばされ切っている背中に筋トレのような収縮刺激を入れる動きとなっておりますので、是非ともお試しいただければと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回の文章で、肩こりに対して肩をマッサージするという事を試験的にでも構いませんのでストップして、ご紹介したセルフケアをお試しいただけるキッカケになれば嬉しいです。

もちろん長年、肩こりでお困りの方でしたらセルフケアで効果が出るまでのお時間も必然と長くなります。当院の患者さんの反応から目安として一日左右1分ずつを続けていただくと早い方で3日から1週間、遅い方でも2週間で何かしらの効果が出ることが多いです。

まずは2週間を目処に続けてからご判断いただければ、ご自分の体に合っているかの指標になるかと思います。

もし2週間やっても効果が出ない場合は、全身の至る所から影響した複雑な原因のものの可能性があります。そのような重症例の方は専門的な治療院にご相談いただくことをお勧めしております。


はぎの台整骨院
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